東京都美術館の
「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」 に行ってきました。
恥ずかしながら「田中一村」という画家のことを全く知らず知識はゼロ。
展覧会のホームページを見ていたら、日本画というジャンルでありながら南の島を描いている独特の作品が珍しくなり、もっといろんな作品を観てみたいと思って参戦してきました。
非常に楽しく鑑賞できました。
「田中一村展」 感想
展示構成 ― 田中一村が奄美に渡るまで
田中一村展は 「田中一村」という画家の幼少期から最晩年までを網羅した展覧会です。
田中一村という画家に初めて触れる私のような人でも、田中一村の生涯を順を追って巡っていけるのでとても分かりやすく楽しめました。
田中一村《ポインセチアとツマベニチョウ》絹本着色/額装/1面 昭和51年(1976)頃 田中一村記念美術館蔵
● 田中一村ってどんな画家?
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鮮やかな色彩の《秋色》シリーズ
田中一村展の何が良かったかと問われれば、私はまっさきに 鮮やかな色彩 だと答えると思います。
初期から晩年まで、一貫して色遣いがとても綺麗で観ていて飽きませんでした。
田中一村《秋色》(部分)絹本着色/1面 1930年代半ば 田中一村記念美術館蔵
ここに載せた2つ以外にあと2つ(計4つ)の"秋色"作品がありますが、そのどれもが恐ろしく綺麗です。
植物だけのものもあれば鳥がいるものもあり。
水彩画のようなにじみを効かせたものもあれば、はっきりとした色遣いのものもあり。
赤や黄色、茶色、カーキ色など秋色がふんだんに使われていて観ているだけで幸せな気持ちになりました。
この"秋色"シリーズもそうですが、田中一村の作品は 紙ではなく「絹」に描かれているものが多くあります。
絹のキラキラした煌めきが絵具と重なることでさらに色彩の美しさが際立ってきている感じもしました。
田中一村《秋色虎鶫》絹本着色/掛軸/1幅 1950年代 個人蔵
とくに1つ目の画像の《秋色》は、会場では《秋色》《秋色》と同じタイトルでテイスト違いの2作品が隣同士で並んでいるのですが、あまりにも綺麗すぎてかなり長めに立ち止まってしまいました。
そういうお客さんは私だけではありませんでしたよ。
初入選作品《白い花》
この《白い花》という作品は田中一村が第19回青龍展に初入選した出品作です。
白と緑の色彩が清らか且つ涼しげで、周りの空気が澄んでいるように思えるほどでした。
田中一村《白い花》紙本金砂子地着色/屏風/2曲1隻 昭和22年(1947)9月 田中一村記念美術館蔵
重なっている緑の葉も近くで見ると筆跡が見えて、一枚一枚区別されているんです。
白っぽい画面にあえて白い花を置くこと余白ができて窮屈に見えません。
そこに小鳥がとまって今にも飛び跳ねそうですよね。
結果的に、本作は田中一村が公募展に入選した生涯で唯一の作品となっています。
可愛らしい天井画
田中一村《草花図天井画》欅板着色/40面 昭和25年(1950)頃 田中一村記念美術館蔵
田中一村が 46歳の頃、石川県羽咋郡に開苑した「やわらぎの郷」聖徳太子殿の天井画を描く依頼を受けました。
現地に通い詰めて丹念に制作され、田中一村自身もかなり充実した経験だったと語っています。
本展ではそんな《草花図天井画》49図のうち11面を外して展示されています。
正方形の天井板に一枚一枚違う植物が描かれています。
11枚を並べるとすごく可愛いし、まるで集めたコレクションを取り出して眺めているような充足感がありました。
余白をとることで木目がそのまま生かされていて、美しさと素朴な優しさが共存した温かみのある作品群ですごく良かったです。
インパクト大な魚介類
田中一村《海老と熱帯魚》絹本着色/額装/1面 昭和51年(1976)以前 田中一村記念美術館蔵
《海老と熱帯魚》は田中一村が奄美に渡ってから描いたもので、一村の 最後の転換となった作品とのことでした。
日本画なのに余白ゼロ。
厚塗りで、エビの甲羅のぶつぶつした凹凸までかなり綿密に描かれています。
グロテスともとれる熱帯の生き物たちの重なりと画面全体の黒さが 実際に見るとかなり衝撃的な作品でした。
アンリ・ルソーを思わせる景色
田中一村《不喰芋と蘇鐵》絹本着色/額装/1面 昭和48年(1973)以前 個人蔵
この作品、ホームページで見たときに「まるでアンリ・ルソーみたいだな」と思っちゃったんです。
ライオンとかが出てきたらルソーだよな、と。
そうしたらだんだん田中一村のことがが気になってきて「よし、展覧会に行ってみよう!」となった私にとっては田中一村への興味のきっかけになった作品です。
田中一村はこの《不喰芋と蘇鐵》について、次のように語っています。
「命を削って描いた」
「(当時の)100万円でも売れない」
「閻魔大王への土産品」
亜熱帯の地域性があふれる作品ですよね。
お気に入りの1枚 ― 田中一村が見た景色
田中一村《奄美の海》紙本着色/色紙額装/1面 昭和50年(1975) 個人蔵
田中一村展のなかで私のいちばんのお気に入りとなったのは《奄美の海》という作品です。
田中一村の描く草花や鳥たちの綺麗な絵はもちろん良かったです。
しかしながら、展覧会で田中一村の幼少期から晩年までを巡ってきたうえでこの《奄美の海》を観るとなんだか・・・。
生きている間に有名になることはなかったかもしれないけど、自分の表現を追い求めて南へ南へと旅をしていった田中一村が最晩年に見た景色だと思うと、心に来るものがありました。
田中一村展、とても楽しかったです。
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「田中一村展」の情報
グッズ
田中一村展特設ショップのラインナップはとっても充実。
ポストカードもサイズ違いで様々ありましたし、クリアファイル、バッグやTシャツ、食品類まで色々な種類がありました。
特設ショップは 展示会場内にありますので お財布を持ってお入りください。
また、一部に東京都美術館のミュージアムショップでの購入品もあります。
ミュージアムショップの方はチケットがなくても誰でも利用できます。
ポストカード
ポストカードはたくさん種類がありました。
定型サイズ以外にも、作品に合わせた大きなサイズ、縦長のサイズなど様々です。
いろいろありすぎて迷ってしまいましたが、私はポストカードをファイルに入れて保管しているので定型サイズを中心に購入。
正方形のものも1つだけ買ってきました。
ポストカードは定型サイズが 157円(税込) 。
正方形のものは 220円(税込) でした。
メタルブックマーカー(しおり)
定番のメタルブックマーカーも買いました。
《秋色虎鶫》がモチーフです。
メタルブックマーカーは精巧な作りになっていてやっぱり好きです。
作品もカラフルな秋カラーでこれからの読書にはもってこいですね。
こちら以外にもいくつか種類がありました。
メタルブックマーカーは 1,100円(税込) です。
ブックマーカー(しおり)
プラスチック版のブックマーカーも買いました。
いくつか種類があるなかで《忍冬に尾長》を選びました。
裏表でデザインがすこし違います。
ブックマーカーは 440円(税込) です。
ドロップ缶
ドロップ缶も買いました。
田中一村が幼少期に描いた2作品《白梅図》と《鉄鋼珊瑚(紅梅図)》がデザインされています。
モチーフのとおりキャンディは紅白の梅味です。
甘酸っぱくて美味しいのであっという間に食べきってしまいました。
ドロップ缶の飴は普段はなかなか買いませんが、美術館グッズになっていたらつい手に取ってしまいます。
ドロップ缶は 734円(税込) でした。
ガラスピアス
ピアスも買いました。
ぷっくりしていて透明感があってすごく可愛いーーーーー!
南国っぽいですね。
田中一村が奄美に渡ってからの作品によく登場するアダンの実がモチーフで、《奄美の海に蘇鐵とアダン 》の作品からトリミングしてきています。
ガラスピアスは 1,650円(税込) でした。
美術館グッズのアクセサリーとしてはお手頃なお値段だと思います。
フックタイプのピアスで、裏面は透明ではなく白の無地。
素材はガラス・真鍮・亜鉛合金との記載があります。
アレルギーが大丈夫であれば是非。
マスキングテープ
ここからは田中一村展特設ショップではなく、東京都美術館ミュージアムショップで買ったものになります。
ミュージアムショップには特設ショップにはないグッズを見つけることもあるので、毎回来たらチェックすることにしています。
まずはマスキングテープです。
田中一村展特設ショップの方にも"マスキングテープ"的なアイテムとして"マスキングシート"というのは売っていました。
ロールタイプではなくて縦長のシールになっているタイプです。
すぐ使い終わってしまいそうだったので断念したのですが、こちらなら楽しめそうです。
《梨花に高麗鶯》がモチーフになっていて、田中一村展にも展示されていた作品です。
ほかにも数種類ありました。
マスキングテープは 462円(税込) でした。
ブックマーカー(しおり)
田中一村展特設ショップにあったブックマーカーとはまた違ったデザインがあったので買ってきました。
《ポインセチアとツマベニチョウ》という、ちゃんと田中一村展で展示されていた作品がモチーフです。
南国感があっていい感じです。
逆光の海辺をイメージしたような黒に、ピンクのリボンが映えますね。
ブックマーカーは 990円(税込)でした。
コラボポストカード
ここからは田中一村展とは全く関係がないものになります。
数か月ぶりの東京都美術館だったのでミュージアムショップを偵察していたら、いつの間にか買っていました。
まずはキャラクターコラボのポストカード。
- スヌーピー ×《凱風快晴》(葛飾北斎)
- リラックマ ×《東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景》(歌川広重)
こういう絵にキャラクターを紛れ込ませるタイプのコラボ結構好きです。
ポストカードは
スヌーピーが 165円(税込) 。
リラックマが 198円(税込) でした。
牛乳をそそぐくまシール
シールまで買ってきちゃいました。
「ゆる~いどうぶつたちのなりきり名画シリーズ」なるもので美術館じゃなくても購入できるものですが、いい出会いなので。
わんこ、にゃんこたちもあったと思いますが、私はくま好きなのでくまさんを。
フェルメールの《牛乳を注ぐ女》がモチーフですね。
めちゃくちゃかわいいです。
「和紙フレークシール」と「透明シールシート」どちらも買ってきました。
和紙フレークシールのほうは 5デザイン×4の計20枚 入っています。
シールシートのほうが絵柄の種類は多いです。
和紙フレークシールが 352円(税込) 。
透明シールシートが 275円(税込) でした。
ガチャガチャもありました
今回はやりませんでしたが、ガチャガチャもありました。
ガチャガチャは2種類あり、展示会場内の田中一村展特設ショップを出たすぐのところに設置されています。
- 缶バッジ 300円
- アクリルキーホルダー 400円
両替機も備え付けてありましたので、 100円玉がなくても 1000円札(新旧対応)があればOKです。
混雑状況・所要時間
会期すぐに行ってきました。
平日のお昼過ぎに行ったのですがかなり賑わっていました。
所要時間は1時間半~2時間半程度。
解説の文字情報が多いのでじっくり読むと時間がかかると思います。
チケット
チケットは 11月22日(金)までの平日は日時指定予約不要。
それ以外の土曜・日曜・祝日及び11月26日(火)以降は日時指定予約制(当日空きがあれば入場可)になっていますのでご注意ください。
チケットは 一般 2,000円(税込) です。
音声ガイド
田中一村展の音声ガイドは 650円(税込) で、会場レンタル版とアプリ版の2種類があります。
- ナビゲーターに 俳優の小泉孝太郎さん
- セリフの部分などには 声優の中村悠一さん
が担当されています。
私はスマホ用のイヤホンを忘れてしまったので、会場レンタル版を購入しました。
アプリ版をご購入された方はお気を付けください。
ロッカー
東京都美術館ではロッカーを利用できます。
ロッカーの使用は無料ですが 100円玉が必要 です。
撮影スポット
田中一村展では展示会場内での作品の撮影はできません。
作品以外で撮影スポットは4か所あります。
- 東京都美術館 正門横
- 東京都美術館内 田中一村展 入場口付近
- 特設ショップを出てから出場までの道筋×2か所
展示替えあり
田中一村展には会期中一部に展示替えがあります。
詳しくは東京都美術館公式ホームページをご確認ください。
- 前期展示:9月19日(木)〜10月24日(木)
- 後期展示:10月25日(金)〜12月1日(日)
巡回なし
田中一村展に巡回はありません。
開催概要まとめ
展覧会名 |
田中一村展 奄美の光 魂の絵画 |
● 東京 |
2024年9月19日(木) – 12月1日(日) 展示替えあり |
開室時間 |
9:30~17:30、金曜日は9:30~20:00 |
休室日 |
月曜日、10月15日(火)、11月5日(火) |
混雑状況 | 平日昼・混雑多少あり |
所要時間 | 1時間半~2時間半 |
チケット | 一般 2,000円
|
ロッカー | あり(無料/100円玉必要) |
音声ガイド | 会場レンタル版またはアプリ版 650円(税込) |
撮影 | 作品は不可/撮影スポットあり |
グッズ | 展示会場内にあり/かなり充実 |
※お出掛け前に美術館公式サイトをご確認ください
※開催地に指定がないものはすべて東京展の情報です
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関連情報
● 「TORIO展」
2024年12月8日(日)まで 東京 → 大阪 と巡回中。
パリ・東京・大阪の3つの美術館からテーマを決めて作品を3つトリオで展示しています。
自由な解釈で3つを見比べて楽しむ新しい展示構成がとてもおもしろく、知的好奇心が刺激される展覧会でした。
● 「デ・キリコ展」
2024年12月8日(日)まで 東京 → 大阪 と巡回します。
デ・キリコの全体像が分かる展覧会なうえ、独特・奇妙とおもしろい作風で飽きがこないので初見にも優しい展覧会です。
TRIO展にも1点、デ・キリコの作品が展示されているので、気に入ったらぜひこの大回顧展も。
● 「印象派 モネからアメリカへ」
2025年1月5日(日)まで、東京(上野) → 福岡 → 東京(八王子) → 大阪と巡回中。
印象派の波はヨーロッパだけでなく、海を越えたアメリカにも影響を与えていました。
アメリカらしい特徴を描いたアメリカ的な印象派作品にたくさん出会えます。
●「北欧の神秘」
2025年3月26日(水)まで「東京 → 長野 → 滋賀 → 静岡」 と1年をかけて全国を巡回中。
すーっごい素敵な展覧会でした。
北欧の風景というだけでもキラキラして聞こえるのに、絵画表現がとてもドラマチックだったりファンタジーだったりで観ているだけで楽しかったです。
●「ロートレック展 時をつかむ線」
2025年4月6日(日)まで「東京 → 北海道 → 長野」と全国を巡回中。
素描が多めですが有名なカラー作品の展示ももちろんあります。
滑らかでするっと伸びる線一本一本がセンス抜群な感じ…!
100年以上前の作品なのに古さを感じさせないのがロートレックの魅力だなと改めて感じられた展覧会で、とても楽しかったです。
●「カナレットとヴェネツィアの輝き 」
2025年6月22日(日)まで「静岡 → 東京 → 京都 → 山口」と全国を巡回中。
たくさんのヴェネツィアの景色が堪能できました。
カナレットをはじめ画家それぞれが自らのヴェネツィアの思い出を語ってくれているようで、とても穏やかな気持ちなれる展覧会でした。
▼これまでの美術展の感想はこちらにまとまっています。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
美術展や読書記録の X もやっているので、よければ遊びに来ていただけると嬉しいです。
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