新しい年が始まりました。
時がたつのが早すぎて年々怖くなります。
2024年はいろいろなマイナスなことが重なって大変な1年でした。
その反動もあって、足しげく美術館に通った1年でもありました。
私を支えてくれた美術展 2024
3月| 印象派 モネからアメリカへ
ジョゼフ・H・グリーンウッド《リンゴ園》1903 油彩、カンヴァス ウスター美術館
2024年のスタートは「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」。
絶対に行きたかった展覧会でした。
印象派というとフランス・ヨーロッパというイメージが強かったので"アメリカの印象派"というのがとても新鮮に思えました。
印象派の作品はやはり綺麗ですね。
光が差して明るくて色も美しくてしゅわわ~っとしていて。
なかでもハッサムやジョゼフ・H・グリーンウッドの作品がとくに美しくて好きでした。
こういう美術展ならいくらでも行きたいな。
3月| マティス 自由なフォルム
印象派展と同じ日に「マティス 自由なフォルム」展にも行ったのでした。
本展ではマティスが最晩年に携わったヴァンスの「ロザリオ礼拝堂」の再現スペースがありました。
黄色や青のステンドグラスに照らされたチャペルは、レプリカでありながらも清らかで澄んだ空気が流れているように感じたのを覚えています。
いつか現地に行って本物を観てみたいです。
あと、どうでもいいことですが、1日に2つの美術展をはしごするの、もう無理だと思っているんですよ…。
20代のときは余裕だったのに今はもう疲労困憊になってしまいます。
体力なさすぎ。
3月| 大吉原展
「大吉原展」は2024年の美術展の中でもかなり印象深かったです。
"花街"という実存した負の歴史である一面と華やかで煌びやかに見える一面。
このギャップが開催前から物議をかもした注目の展覧会でした。
私自身、「吉原」という題材自体にもともと興味がありました。
実際に行ってみると、ものすごい作品数と文字情報の多さに驚いたんですよね。
しっかり丁寧に吉原の歴史を伝えてくれつつ、美術展として数々の見ごたえのある芸術作品が堪能できる構成が素晴らしいと思いました。
4月| 北欧の神秘
テオドール・キッテルセン《アスケラッドとオオカミ》1900 油彩・カンヴァス ノルウェー国立美術館蔵
「北欧の神秘 ― ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」は楽しかったですね。
北欧といえばムーミンの世界みたいな、妖精とか神話とか"不思議"が似合うイメージ。
絵本の世界に入りこんだような展覧会でした。
SOMPO美術館でやる美術展は毎度絶妙なところをついてくるから好きです。
規模が大きい美術展ではできないような、すこしだけマニアックな内容がたまりません。
5月| デ・キリコ展
ジョルジョ・デ・キリコ《形而上的なミューズたち》1918年、油彩・カンヴァス カステッロ・ディ・リヴォリ現代美術館
「デ・キリコ展」は独特でした。
仮想したおじさまが描かれている自画像からして"変"な感じが漂っていましたが、どの作品もとっても個性的。
ギャグマンガ日和に出てきそうだな、と思うような絵もあったりしました。
ジョルジョ・デ・キリコについて全然詳しくなかったのですが、初期から晩年まで味わえる展示構成だったのはありがたかったです。
また1つ、美術の興味が広がりました。
6月| TRIO展
アンドレ・ボーシャン《果物棚》1950年 大阪中之島美術館蔵
「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」 は展示構成が最高でした。
パリ・東京・大阪の3つの美術館の所蔵作品から作品を持ち寄って共通テーマを設定して3つ並べて見比べる、というこれまでに無かったおもしろい試み。
表現の違いを比べるのも楽しかったし、シンプルに作品単体としても魅力的なものが多かったです。
シャガールが見られたのが特に嬉しかったですね。
一人の画家にフューチャーした美術展とはまた違って、あらゆる時代や国を跨いで絵画・彫刻・映像作品など多種多様な作品を観られたのも楽しかったです。
はじめから終わりまでずっと刺激をもらいながら鑑賞することができました。
6月| ロートレック展 時をつかむ線
ロートレック 歌曲集『昔噺』表紙(カラー版)1893年 リトグラフ
「 フィロス・コレクション ロートレック展 時をつかむ線」ではロートレックの素描がたくさん集まりました。
ロートレックの素描は無駄な線が一本もないのがすごいんですよね。
これまでロートレック作品はかなり観てきたので知っている作品も多かったのですが、何度観てもその画力とセンス抜群な構図には惹かれてしまいます。
ロートレックといえばキャバレーなど夜の世界を描いた作品が印象的ですが、中でも娼館の女性たちをモチーフにした版画集『彼女たち』の素描を観られたのが嬉しかったです。
ロートレックの描く女性はいやらしさがなく人間味があって、ドキュメンタリーを観ているような気持にさせてくれるから大好きなんです。
7月| 内藤コレクション 写本
【部分】典礼用詩編集零葉、フランス、ランス(?)1320年頃 彩色/インク・金/獣皮紙 長沼基金
「内藤コレクション 写本 ― いとも優雅なる中世の小宇宙」にも行きました。
内藤氏が一目ぼれして蒐集した中世の手写本のコレクションが集結した展覧会で、実物を目の前にするとその魅力の沼にはまってしまった気持ちが身に染みてよくわかります。
小さな紙の上に繊細に描かれた絵とカリグラフィー。
本当に何百年も前のものなのかと疑ってしまうくらいに綺麗な彩色。
驚くほどの美しさです。
内藤コレクションの写本の展示は国立西洋美術館の常設展の一角でやっていた小企画展示のころからずっと追っていました。
過去3回の小企画展すべて観に行っていたくらい好きだったので、このように地方を巡回する規模の企画展として発展してくれたことが何よりも嬉しかったです。
9月| 田中一村展
田中一村《不喰芋と蘇鐵》絹本着色/額装/1面 昭和48年(1973)以前 個人蔵
「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」もエネルギッシュな作品の数々を観ることができました。
当時の日本最南端である奄美大島に渡って奄美の情景を描いた、日本のゴーギャンとも称される田中一村の大回顧展です。
日本画でありながら南の島の景色を描いており、そのどれもが個性的な雰囲気をかもし出していて印象深い作品が多かったです。
5月に観に行った「デ・キリコ展」とも共通するものを感じましたね。
無名のままこの世を去り、注目されたのは没後。
それでも生涯にわたって自分の絵を追い求めた力強い姿勢にも感動しました。
10月| カナレットとヴェネツィアの輝き
カナレット《サン・マルコ広場》1732-33年頃 油彩、カンヴァス 東京富士美術館
「カナレットとヴェネツィアの輝き」にも行きました。
ヴェネツィアの景観画を一堂に集めた、結構マニアックな美術展です。
ヴェネツィアは大学の卒業旅行で行ったことがあります。
作品を観ていると「ここ実際に見たぞ」と気が付くこともあり、当時のイタリア旅行の思い出をたどるように鑑賞できたのが楽しかったです。
こうやってとある地域に限定した美術展を観たのは初めてでしたが、とてもおもしろいですね。
それに、また行きたいです、イタリア。
11月| 不在 ―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック『コンフェッティ』1894 リトグラフ、洋紙 三菱一号館美術館
「不在 ― トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」も楽しかったです。
6月に「ロートレック展」を観ていたこともあって、この展示ではロートレックよりも現代作家のソフィ・カルさんの作品の方が強く印象に残りました。
同じ時代を生きているからこそ理解できることや突き刺さってくるものがあり、現代アートのある意味での恐さも感じました。
心に直接訴えかけてきましたね。
ソフィ・カルさんのほかの作品もぜひ観てみたいです。
12月 | モネ 睡蓮のとき
クロード・モネ《睡蓮》1916-1919頃 マルモッタン・モネ美術館
2024年ラストは「モネ 睡蓮のとき」でした。
モネ作品は3月の「印象派 モネからアメリカへ」でも観たし、2023年に「モネ 連作の情景」も観ていたので、この展示はスルーしようかと思ったのですが、やっぱり気になって観に行くことに。
ものすごい混みようで驚きましたね。
でもやっぱりモネは何度観ても良い。
綺麗です、やっぱり。
〈睡蓮〉ももちろん良かったし、〈ばらの庭〉の連作も素晴らしかったですね。
年納めとして相応しい展覧会でした。
おわりに
2024年は私にとっていろいろと大変な年になりました。
ずっと会えていなかった祖母が亡くなった悲しみ。
おじいちゃん・おばあちゃんと呼べる人が一人もいなくなってしまった寂しさ。
家族全員が何かしらで病院のお世話になって、時の流れと親の老いを実感したり。
年末には家族でコロナになってしまい、最後の最後まで色々なことが起こるなと、ちょっと疲れました。
あまり良い年とはいい難い1年でしたが、幸い家族はだれも大事には至らずで、その点では軽く済んで良かったのだと思います。
家族と何気ない平和な日常を過ごせることが何より尊いことです。
時々はお出かけしたりしてね。
2024年にも、美術展以外にいろいろ楽しいことをしましたよ。
SnowManの佐久間くん目当てで母と近所の映画館に「マッチング」を見に行ったり。
現代バレエの舞台「マシュー・ボーンのロミオ+ジュリエット」を観に母と渋谷に行ったり。
原神のゲームで"風の翼"をゲットするために20年ぶりくらいにケンタッキーを買いに行ったりもしました。
2025年もまた家族みんなで一緒に普通の日常をおくっていけたらそれだけで嬉しいです。
そのなかで、美術展にもたくさん行けたら万々歳ですね。
このブログも趣味としてもうすこし続けてみたいと思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
2025年もどうぞよろしくお願いいたします。
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