『塩田千春展:魂がふるえる』レビュー
塩田千春さんの展覧会に行ってきました。
今回は塩田さんの個展のなかでも過去最大規模ということで、SNSでもたくさんの写真があがっていますね。
ずっと楽しみにしていました。
この赤を観にいきました。
《不確かな旅》2016/2019 展示風景 撮影:mumu
すさまじい量の赤い糸がは張り巡らされています。どうしてこのような作品が生み出されたのか。限られた言葉の中にヒントがあるかもしれない。
― 黒は広大に広がる深い宇宙を、赤は人と人とをつなぐ赤い糸、または血液の色を表す。まるで私の中の心の宇宙と外の宇宙を繋ぐように、糸は絡まり、ときにピンと張り詰める。―
《静けさの中で》2008/2019 展示風景 撮影:mumu
赤の世界から一転。この作品は、9歳の時の隣家の火事からのインスピレーションだそうです。
一番好きになった作品です。
《小さな記憶をつなげて》2019 展示風景 撮影:mumu
何気ない日常が全部全部大切なものとして私と赤い糸で繋がっている。そんな温かさを感じました。
死んでいくときこの糸は全部切れてしまうのかな。細くて頼りなくても私の魂とつながって、最後まで一緒についてきてくれたらうれしいな。
ースーツケースの山を見ると、その数だけの人の生を見てしまう。―
《集積―目的地を求めて》2016/2019 展示風景 撮影:mumu
これら以外に、映像作品や舞台に関わる作品などもありました。
公式が「没入型」と銘打っているとおり、観客は作品の中に入り込んであらゆる角度から鑑賞できるようになっているのが面白いところ。
「美術館になかなか行かない人でも これなら楽しいんじゃない」と、そばにいたおじさま方が話していましたよ。
このスーツケースの裏側に行ってみたくないですか。
宙に浮かぶケースとそれらが織りなす影が綺麗で思わずそばに腰かけてぼーっと眺めたりしました。
最後に問題です。これはどこから見た何の風景でしょうか? 正解は展覧会で・・・なんて。
展示会のとある作品からのぞいた風景 撮影:mumu
日本を離れベルリンを拠点に活動する塩田千春さん。作者はこの展覧会の企画を受けた際、12年前の癌の再発が分かったといいます。
生と死。愛情。恐怖。悲しみ。繋がり。慈しみ。彼女のあらゆる想いが、魂をふるわせる強い意志を宿した作品となって訴えかけているような気がしました。
展覧会情報
塩田千春展:魂がふるえる 公式HP
会期:2019.6.20(木)~ 10.27(日) 会期中無休
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
混雑具合:(主観)金曜の14時頃に行って待ち時間なし。
所要時間:(主観)1時間半程度(私は絵画の展示などはだいたいいつも2時間)
グッズ:展示の終わりに小スペースにて売り場あり
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