本年もどうぞよろしくお願いいたします。
はじめに、今回の能登半島地震で被害を受けられた方々に心よりお見舞い申し上げます。
ニュースやSNSの発信を拝見するたびに心が痛み、自分の無力さを思い知らされます。
一日も早く平穏な日々が取り戻せるよう心より願うとともに、今の自分にできることを探して微力ながら応援していけたらと思っております。
…………
2023年も終わり、新しい年が始まりました。
個人的にはいろいろうまくいかないことも多かった2023年だったけど、美術館に行くと晴れやかな気分になれるから毎回行くたびに「やっぱり来てよかったな」と思います。
そういう場所があること、平和な毎日があることを幸せに感じていかなければなりませんね。
私を支えてくれた美術展 2023
2月| エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才
エゴン・シーレ《赤い靴下留めをして横たわる女》1913年 鉛筆、グワッシュ/紙 レオポルド美術館
2023年最初の美術展は「エゴン・シーレ展」でした。
私がエゴン・シーレをきちんと認識したのは2019年。
オーストリアと日本の友好150周年の年だということで、日本でオーストリア関連の美術展がたくさん開催されたんですよね。
私はその中の一つ「ウィーン・モダン展」がきっかけで、エゴン・シーレという画家の作品と出会いました。
シーレの絵はとにかく格好良いんですよ。
色遣いや絵のタッチがセンス抜群。
暗めで影をさすような絵柄がとても惹かれるし中毒性があるように思います。
だからこの「エゴン・シーレ展」は開催前から絶対に行こうと決めて楽しみにしていた展覧会だったんです。
どの絵も素晴らしかったなかで特に気に入ったのが女性のドローイングでした。
無駄のない線と配色は カンヴァスから才能が収まらずにあふれ出しているように思えるくらい鳥肌ものでした。
3月| ルーヴル美術館展 愛を描く
ジャン=オノレ・フラゴナール《かんぬき》1777-78年頃 油彩/カンヴァス ルーブル美術館蔵
ルーブル美術館は大学の卒業旅行で行きました。
もう10年前の話です。
当時はそこまで絵画鑑賞に積極的ではなくて、透明なピラミッドと《モナリザ》を観たかっただけの私。
10年経ってこんなに認識が変わっているとは思いませんでした。
今の意識のまままたルーブルとかオランジェリーに行きたいな…。
ルーブル美術館のような超有名美術館の展覧会はダイナミックで見ごたえのある絵がたくさん展示されます。
この『ルーブル美術館展』も同じくでした。
ジャン=オノレ・フラゴナールの《かんぬき》が観られて感動したし、チラシに採用されたエンジェルの巨大画 フランソワ・ブーシェの《アモルの標的》の美しさと言ったら言葉にできない圧倒的なものがありました。
5月| エドワード・ゴーリーを巡る旅
エドワード・ゴーリー 『無題(妖精のようなバレリーナ)』 1980年代頃(ポストカードを撮影)
「エドワード・ゴーリー展」もとてもおもしろかったです。
ビアズリーなど黒い線だけの緻密な絵画やイラストも好きなジャンルなので絶対楽しいと思ってました。
ホラー要素がありつつ、絵本のイラストなのでキャラクターや人物の顔は愛嬌があったりしてとてもいい塩梅なのがいいですよね。
世界中にファンがいるのもわかる。
観ていて飽きない。
こういう絵が描けるのに憧れます。
会場となった松涛美術館も初めてでしたが、レトロで暖かい雰囲気があってとても素敵な美術館でした。
また行きたいです。
6月| マティス展
アンリ・マティス《マグノリアのある静物》1941年12月 油彩/カンヴァス ポンピドゥー・センター/国立近代美術館
「マティス展」は2023年で予想外に楽しかった美術展 No.1かもしれません。
私は、ルドンとかゴッホとかクリムトとか、分かりやすく色づかいが綺麗な絵がやっぱり好きなんですよね。
だからマティスの切り絵だったり簡易化されたような絵はどうなのかな…と斜に構えて観に行きました。
そうしたらまあ…すごかった!
エネルギーに満ち溢れていました。
切り絵もそうだし《マグノリアのある静物》などの赤い絵シリーズもそうだし。
色のパワーに当てられたといってもいいと思います。
最後にダメ押しの「ロザリオ礼拝堂」で光のパワーまで加わってしまってもう心が震えました。
現地に行って本物の礼拝堂の床に降り立ちたいくらいです。
本当に観に行ってよかったです。
8月| デイヴィッド・ホックニー展
デイヴィッド・ホックニー展 《ノルマンディーの12カ月 2020-2021年》展示風景
「デイヴィッド・ホックニー展」は巨大作品が圧巻でした。
巨大すぎてカンヴァスを分割して描かれたものから iPadやデジタル技術を活用した作品まで。
iPad絵画を美術展で見たのは初めてでしたが「iPadだから情緒がない」とか言えないなって思いますね。
86歳になるホックニーさんの、ずっと新しいことにチャレンジし続けている生き方も良いなあと思います。
100枚以上の写真をつなげるとか、クレーンで組まなければならないくらいの巨大な絵画を描くとか。
そういう目に見えない生命力みたいなものが作品に乗っかってくるのだと思います。
心が澄んでくるような壮大で奥行きがある作品たちでした。
出会えて幸せでした。
10月| モネ 連作の情景
クロード・モネ《ジヴェルニーの積みわら》1884年 ポーラ美術館
「モネ展」は目当ての《ジヴェルニーの積みわら》が観られて大大大満足。
モネはもう美しいのが確定している画家なので、まあ観に行きますよね。
やっぱり大人気でした。
モネというと睡蓮のイメージがありますが、海辺の絵などイメージにない風景画もたくさんありおもしろかったです。
モネ作品をたくさん観てきた層も楽しめるようになっていたと思います。
それにしてもやはりモネの絵って綺麗ですよね。
色と光の調和 ー 光が当たった時の空気感や水の複雑な色の表現は唯一無二。
何度も観ているけど、実物を観るとその度に綺麗さが更新されていくような気がします。
11月| ゴッホと静物画 - 伝統から革新へ
ゴッホと静物画展 《アイリス》と《ひまわり》の展示風景
2023年の最後は「ゴッホと静物画展」です。
SOMPO美術館がゴッホの《ひまわり》を持っていることがこれほど活かされた展示はあっただろうか…!
《アイリス》と《ひまわり》を横並びに観られるって贅沢すぎて。
それにいつもガラスの向こうにいる《ひまわり》が間近で見られたのも、ありがとうございますって感じです。
モネ展を観に行った直後だったこともあり
モネのふわっとしたやわらかさとゴッホのパワフルな厚塗りと、表現の違いを楽しめたのも良かったです。
花モチーフの静物画が多かったので、全体的に色が綺麗な作品が多かったところも楽しめました。
おわりに
2023年は、個人としては停滞の1年だった気がします。
仕事ではずーっとイライラしていました。
上司が替わった悪い影響がどんどん押し寄せてきて常に戦闘態勢になっていて、嫌な自分だけが引き出されている気がして。
何のために仕事してるんだっけ、とか思ったり。
東欧に海外旅行するつもりが、家族がコロナになりちょっと症状が重めで急遽キャンセルになったり…。
自分も両親も少しずつ歳をとっているからか、未来について考えこんでしまうことも多くなってきた気がします。
楽しいことだけやって人生を終わりたいと常に思っているのに、難しいものです。
それでも!
母とは舞台と映画を観に行ったりもできました。
『桜の園』は原作をちゃんと読んでから参戦。
TVドラマでみるような役者の方の舞台は初めて新鮮でした。
八嶋さんがとくにお上手だった(もっと良い表現がしたいのに語彙力が…)。
『エリザベート1878』も良かったです。
エリザベートは宝塚から入って母も私も大好きな題材で、映画ではシシィの苦悩が直接伝わってくるようでちょっと響きすぎて放心状態になったけどそれがエリザベートの人生ですからね。
2024年も、まあ ちゃんと働いたら
美術館とか舞台とか、また行きたいなと思っています。
このブログも自分自身の記録として今年も続けていきたいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
2024年もどうぞよろしくお願いいたします。
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