東京ステーションギャラリーに
『ハリー・ポッターと魔法の歴史展』を観に行ってきました。
ずっと楽しみにしていた展覧会でした。
この『ハリポタ展』は、イギリスの大英図書館が2017年に開催した展覧会『Harry Potter : A History of Magic』の国際巡回展となっています。
2018年のニューヨークに続き、ついに日本にも来てくれました。
昨年秋に兵庫会場での展示が終わった現在、東京で開催中です。
✅ 小説ファン・映画ファンどちらが楽しめるか?
✅ ハリー・ポッターに詳しくない人でも楽しめるか?
個人的な感想とともにこの点についても書いていきたいと思います。
私が行ったのは12月中旬だったので、それから1カ月が経ってしまいました。
2022年1月中旬現在、コロナもまたひどくなり当時とは混雑状況等に変化があるかもしれませんが、サンプルのひとつとして参考になればうれしいです。
『ハリー・ポッターと魔法の歴史展』の感想
その物語の背景には、イギリスをはじめ世界各国に伝わる魔法や呪文、占いなどが数多く存在します。
本展では原作に基づき、ハリーが通ったホグワーツ魔法魔術学校の科目に沿って、
大英図書館の所蔵品を中心に、古くは4世紀にまで遡る貴重な資料の数々を展示します。
(ハリポタ展特設サイトより抜粋)
ハリポタ展の構成・見どころ
この『ハリー・ポッターと魔法の歴史展』は、全部で10のセクションに分けられています。
第2章 魔法薬学
第3章 錬金術
第4章 薬草学
第5章 呪文学
第6章 天文学
第7章 占い学
第8章 闇の魔術に対する防衛術
第9章 魔法静物飼育学
第10章 過去、現在、未来
どれもファンにはたらまないワクワクするような章タイトルです。
これらハリー・ポッターに出てくるキーワードに沿うように、現代の「ハリー・ポッターに関する資料」と
「実際に何世紀も前の人々が研究した魔法に関する資料」が並行して展示されています。
小説ファンがうれしいところ
✓ J.K.ローリングさんの直筆原稿がみられる
原作者 J.K.ローリングさんの書き込み原稿がみられます。
J.K.ローリングさんが25歳のとき、遅れた列車を待っていた際に突如としてハリーのイメージが湧いてきた。
それからはそのイメージに肉付けするために文献を調べ、執筆を始めるまで5年を費やした。
『ハリー・ポッターと賢者の石』の訳者のあとがきにはそのようなことも書かれています。
当時まだ無名だったJ.K.ローリングさんが原稿を持ち込んだ時、およそ8社の出版社にことごとく断られたのだそうです。
断ってしまった出版社の後悔といったら尋常ではなかったでしょうね…。
✓ J.K.ローリングさんが描いたスケッチがみられる
《ダイアゴン横丁入り口のスケッチ》
《「ほとんど首なしニック」のスケッチ》などなど。
J.K.ローリングさんは絵も本当にお上手でした。
味があってかわいいスケッチがとても良くて、ポストカードにしてほしいくらいです。
とくにダイアゴン横丁のイラストは1990年(ハリー・ポッター着想の年)に描かれたもので、何もないレンガの壁を傘でたたくと入り口が現れるシーンの6段階のイラストがとても精巧で具体的でした。
はじめからこういう映像が頭の中にあるのだな、と感動しました。
✓ ジム・ケイ作品が見られる
イラスト版ハリー・ポッターシリーズの挿絵を手掛ける、ジム・ケイさんの作品や習作が観られます。
この賢者の石の表紙の習作もさることながら、
《魔法薬の瓶のスケッチ》や《ダイアゴン横丁のイメージ》など細部まで考え抜かれていて鑑賞し甲斐があります。
ゴシック風のイラスト好きにはたまらないと思います。
映画ファンもうれしいところ
✓ 本当にあった「ベゾアール石」
ハリーのはじめての魔法薬学の授業で、スネイプ先生が「ベゾアール石を見つけてこいといわれたら、どこを探すかね?」と問うた石。
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』で毒で死にそうだったロンを救った石。
ピエール・ポメ『薬剤全史』1712年 大英図書館蔵
ベゾアール石とは動物が胃の中で消化しきれなった繊維が固まってできた物質で、中世では解毒作用があるとしてアラビアからヨーロッパに伝えられました。
本展ではその ベゾアール石について記された17世紀の書物 (『薬剤全史』) と「ベゾアール石が入った金線細工の容器」の展示があります。
✓ 「賢者の石」の作り方
ジェームズ・スタンディッシュ《リプリー・スクロール》16世紀 大英図書館蔵
16世紀の写本《リプリー・スクロール》には 賢者の石の作り方 が記されています。
4メートルを超える超大作で、なんとも不可思議なモティーフで埋め尽くされていました。
賢者の石の秘密を守るため、あえてあいまいに描かれていたりするようです。
このほかにも、15世紀の薬草書に描かれた"根っこにおじいさんがくっついているマンドレイク"。
その横に、本当に人のような形をした「マンドレイクの根」の実物。
錬金術師ではないけど実在していた「ニコラス・フラメル」……。
ハリー・ポッターの世界と歴史的な資料が入り乱れていて、訳が分からなくなりそうでした。
ハリーみたいな魔法使いがもしや実際にいたんじゃないかと思わせる没入感です。
美術ファンがうれしいところ
✓「魔法」がテーマの貴重作品・資料
ゴッホ展のような画家がテーマの展覧会や、印象派展など時代をテーマにした展覧会はよくありますが、「魔法」をキーワードに展覧会が開かれること自体なかなか珍しいのではないかと思います。
ハリポタ展では、大英図書館から「魔法」を軸にした貴重な資料がたくさん集められていて、たとえハリー・ポッターのファンでなくてもこの機にしか出会えない作品や貴重資料が観られる絶好のチャンスです。
『ウラニアの鏡 あるいは天界の眺め』ロンドン 1834年 大英図書館蔵
こちらの『ウラニアの鏡 あるいは天界の眺め』は第6章の天文学のセクションにあります
ちなみに、ハリー・ポッターの登場人物には星から着想を得たものがたくさんあります。
例えばハリーの天敵であるドラコ・マルフォイの名前は、この竜座(DRACO)から名付けられています。
✓ 魅力的な「魔女」の絵
私がハリポタ展を観に行ったいちばんの理由がこちらの絵!
ホームページで見かけて一目惚れし、実物を観てみたかったのです。
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《魔法円》1886年 テート蔵
この絵の作者であるジョン・ウィリアム・ウォーターハウスは19世紀イギリスを代表する画家のひとりです。
魔女や魔法を主題とした作品を多く描いた画家なのですが、ほかの画家と違うのが魔女の描かれ方。
一般的に醜く悪い印象で描かれることが多い魔女ですが、ウォーターハウスの魔女は 美しい横顔と豊かな黒髪、鮮やかなドレスや可憐な花々などとても肯定的に描かれています。
鍋から立ち上る煙は、実物でみるとユニコーンみたいに七色に光ってみえて、この綺麗な魔女とぴったりな色合いです。
大きい絵で迫力もあり、本当にきれいでした。
大満足!
観に行って本当によかったです。
ハリポタのファンじゃない方も楽しいところ
✓ 魔法の世界観にひたれる
お友達や恋人の付き添いで来ました~という方も楽しめると思います。
ハリー・ポッターの知識がゼロのひとでもわかりやすい解説や音声ガイドが用意されていて、観に行った甲斐のある程よい専門性とマイナー度合になっています。
現代のハリー・ポッターの魔法使いの世界観。
そして、何世紀も前に記された呪術・錬金術・天文学・占いなどの不可思議な歴史資料。
この二つがミックスして
なにやら魔法がフィクションなのか史実なのか分からなくなる感じで、体験型アトラクションのようなおもしろさが味わえるかもしれません。
✓ 河童と人魚のミイラがいる
あと、ミイラがいるので、是非みてみてください。
河童のミイラと人魚のミイラ。
龍のミイラまでいました。
ミイラは展示の後半に登場するのですが、今(ハリーの世界)と昔(歴史資料)を行ったり来たりしてだんだんと夢か現実か訳がわからなくなってきているところにミイラが出てきます。
河童の方はウソともホントとも書いていなかったけどどうなのでしょうか。
おもしろい世界です。
『ハリー・ポッターと魔法の歴史展』の情報
グッズ
とてもたくさんの種類がありました。
有名作品なので話題性もあって、ハリポタのファンでなくてもお土産に買って行ったら楽しいのかなと思います。
映画ファンの方にはグリーティングカード、
美術ファンの方にはポストカードがおすすめです。
ポストカードの方は映画「ハリー・ポッター」シリーズでグラフィックデザインを手掛け、世界中のファンに愛されている「ミナリマ」のグッズだそうで、このほかにもノートやクッションカバーなどがありました。
このダウンブルドアは角度を変えると動いてみえます。
「ミナリマ」グッズ グリーティングカード
会場限定グッズもありました。
マグネットにクリアスタンド、ピンバッジやメモ帳など。
会場限定グッズ ピンズ
このピンバッジは全5種のガチャ方式。
私は「古代エジプト占い師の最後の遺産」が当たりました。
会場限定グッズ ボックス入りメモ&石チョコ
こちらは最も美しい錬金術の写本といわれる『太陽の輝き』(16世紀ドイツ)のメモ帳です。
まさかのトランプみたいなバラバラタイプで、結構よい厚紙でございました。
マンドレイクのICカードステッカー
ICカードのプライバシーシールまで。
食べ物系は要注意です!
良くも悪くも魔法の世界の変な味!
バーティ・ボッツの百味ビーンズ
百味ビーンズなんてもう…!!
グミではなくねちっとしたゼリービーンズなのですが、「ゲロ味」を食べてリバースしそうになりました(笑)
真っ赤なチェリー味と、緑の青りんご味ならまだいけるかと。
お友達や兄弟におもしろグッズとして買っていくにはいいかもしれません。
各組のカンカンに入ったゼリービーンズ
このグリフィンドールのカンカンに入っていたゼリービーンズは、百味ビーンズのチェリー味と同じなのではないかと思います。
私は家族に 蛙チョコレート を買って帰ったのですが、勘が冴えていました。
チョコレート系はおいしかったです。
ちゃんと有名魔法使いのカードも入っていました。
蛙チョコレート(バーティー・ボッツの動くカード)
このスニッチのチョコのほうは、おいしいけどデカすぎて口で割れないです。
一気食いしました。
スニッチのチョコレート
この辺のお菓子類はUSJに売っているのでしょうか。
おみやげまで楽しかったです。
グッズ売り場は展示会場とは別になっています。
しかし、ロッカーに帰ってくる前にありますので、ロッカーに荷物を預けて鑑賞する方はお財布をもって展示会場にお入りください。
混雑状況
私が行ったのは、12月中旬の日曜日の朝です。
現在とは状況が異なるかもしれませんが、朝としては混んでいたなと思います。
事前予約制で、展示会場内の入場者数の調節が行われていたところは安心できました。
自由にうろうろと鑑賞できるセクションもあれば、作品によっては一列に並んで歩かなれば順番が回ってこないようなところもありました。
所要時間
2時間くらいかと思います。
混雑していたこともあり、一つ一つ確実にみていくには少し時間がかかりました。
音声ガイド
音声ガイドは、事前にアプリで購入し、当日会場にイヤフォンを持参するタイプです。
ナビゲーターは女優の桐谷美玲さんが担当しています。
内容はハリー・ポッターのストーリーの解説と展示品の解説が半々くらい。
ストーリー解説はそれほどコアな内容ではなかったので、ハリポタをそこそこ知っている人にとっては、解説されるまでもないかもしれません。
私としても、もう少し大英図書館の展示品についての詳しい解説があるとうれしかったなと思いました。
しかし、小さなお子様から大人までいろいろな客層が来ていたので、仕方ないかなと思います。
撮影スポット
撮影スポットと位置づけられた場所はありません。
しかし、ここだったら記念撮影が撮れるだろうなというスポットが2つ。
展示場の出口にあるこちら。
撮影スポット① 展示会場出口横
そして、その展示会場出口を背にして正面にあるこちらです。
撮影スポット② 会場出口正面
ロッカー
東京ステーションギャラリーでは
ギャラリー入り口の自動ドアを通って直進したところにロッカーがあります。
たくさん人がいたのにほとんど使われていませんでした。
ロッカーは 無料で100円玉も不要 です。
トイレもロッカーと同じ方向にあります。
どちらもチケットを見せる前に向かってください。
ハリポタ展 入館記念券
ネットで事前予約をしてコンビニで発券した味気のなかったチケット。
東京ステーションギャラリーでは、会場でチケットを差し出す際に入館記念券と交換してくれました。
ハリポタ展の入場記念券(フクロウ)
絵柄はランダムで、数量限定のため配布はなくなり次第終了。
無料に該当する方や招待券・招待ハガキでご入場の方は配布対象外とのことです。
全部で4種類あるみたいです。
こういうサービスが本当にうれしいです。
開催概要
展覧会名 | ハリー・ポッターと魔法の歴史展 |
会期 | 2021年12月18日(土)~2022年3月27日(日) |
会場 | 東京ステーションギャラリー |
特設サイト | https://historyofmagic.jp/ |
チケット | 事前予約制:一般 2,500円 入館記念券と交換あり (全4種ランダム数量限定) (無料に該当する方・招待券・招待ハガキは対象外) |
所要時間 | 2時間程度 |
混雑状況 | まあまあな混雑 |
音声ガイド | 桐谷美玲さん:税込 610円 アプリ配信のため事前購入必要 会場にイヤホン持参 |
グッズ | 充実 |
ロッカー | あり:無料・100円玉不要 |
撮影スポット | 2か所あり |
※お出かけの際は公式サイトをご確認ください
関連情報
▼ 2017年に大英博物館で始まった『ハリー・ポッターと魔法の歴史展(Harry Potter : A History of Magic)』。
2017年には英国での開催模様や原作者J.K.ローリングさんのインタビュー等が観られるドキュメンタリー映像が、2018年には小説版と同じ出版社・静山社から大型本『ハリー・ポッターと魔法の歴史』が発売されています。
▼ 福岡では『ゴッホ展』が2022年2月13日(日)まで開催です。
本当に素晴らしい展覧会でした。《種まく人》や《夜のプロヴァンスの田舎道》など実物の迫力たるや。
充実感間違いなしだと思います。
▼『ゴッホ展』はグッズも充実しています。
私もたくさん買ってしまったのでご参考にしてください。
▼ 大阪では2022年1月28日(金)から『イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜 ― モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン』が開催予定です。
レッサー・ユリィの《夜のポツダム広場》とゴッホの《ウパウパ》は、是非実物をご覧ください。
▼ ハリポタ展ではいろいろなセクションで"写本"が展示されています。
こちらの『内藤コレクション展』にかなり近いものだったので、これが好きならハリポタ展の写本も気に入るかと思います。
▼ Twitterでは、気ままに美術や読書についてつぶやいていますのでよかったら見てください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
クリックいただけるとうれしいです^^
コメント