上野の森美術館で開催中の モネ展 2023 『モネ 連作の情景』 に行ってきました。
展示作品は、モネ 100%。
モネの連作に焦点を当てて厳選された約70点が集められた展覧会です。
同じ景色を描き分けるモネの連作だからこそ味わえる、水面の煌めき、空気の変化、光のうつろいが体いっぱい感じられる癒しのひと時でした。
お気に入りの作品をいくつか書き留めるとともに、後半ではたくさん買ってしまったグッズや会場の様子などを記録しています。
それでは、モネの池を渡って。
いざ、モネの連作の世界へ。
『モネ 連作の情景』 感想
モネの旅路
フランスのパリで生まれたモネ。
86歳の生涯で、パリ近郊はもちろん、ノルマンディー地方やブルターニュ地方、地中海の港町などいくつもの国や地域を旅しています。
時には同じ場所に長期間滞在したり何度も足を運んだりして、お気に入りの景色を幾度となくカンヴァスに落とし込んでいきました。
クロード・モネ《ヴェンティミーリアの眺め》1884年 ボルディゲラ グラスゴー・ライフ・ミュージアム(グラスゴー市議会委託)
『モネ 連作の情景』展のポスターにもなっているこの《ヴェンティミーリアの眺め》は、モネがイタリアのボルディゲラを訪れた時のものです。
ルノワールと旅したこの地に強く惹かれたモネは、すぐ翌月にひとりでボルディゲラに再訪し、この絵を描きました。
抜けるような青色が澄んだ空気と爽やかな山の風を思わせます。
青く広がるカンヴァスが、ピンク・オレンジで表現された柔らかな光を惹きたてていて とても美しかったです。
モネと海辺の連作
今回のモネ展では、モネが海辺を描いた連作を何種類か観ることができます。
なかでも好きだったのは、プールヴィルの断崖の連作です。
この地域はモネの大のお気に入りスポットだったようで、1882年に2度もこの地に滞在し、なんと100点もの海の景色を残しました。
クロード・モネ《プールヴィルの断崖》1882年 東京富士美術館
クロード・モネ《プールヴィルの断崖》1882年 トゥウェンテ国立美術館、エンスヘデ
描かれた季節、時間、クローズアップされている対象がすこしずつ異なります。
連作はこうやって比べながら観るとより一層おもしろいので、こうして普段は各国散らばっている連作を隣に並べて観られるのってすごく贅沢で貴重なことだと感じます。
モネと積みわらの連作
モネの連作といえば、睡蓮か積みわらか…というくらい有名なテーマです。
モネが睡蓮のある庭とともに晩年をすごしたジヴェルニーの自宅。
モネは、そんな自宅付近で 積みわらが太陽の光を受けて移ろいゆく様を何枚も描くようになりました。
クロード・モネ《ジヴェルニーの積みわら》1884年 ポーラ美術館
クロード・モネ《積みわら、雪の効果》1891年、ジヴェルニー スコットランド・ナショナル・ギャラリー、エディンバラ
とくに素晴らしかったのが雪景色と積みわらを描いた《積みわら、雪の効果》です。
日の出なのか日没なのか、雪が暗がりで作り出す青い影と、オレンジとグレーが混ざったような空のコントラストがたまりませんでした。
こんなに絵具を重ねているのに透明感が損なわれないのはなぜなのか…。
まあるい頭の積みわらがまた愛らしくも思えます。
モネの睡蓮
モネの睡蓮ももちろん展示されています。
いくつもの睡蓮があるなかで、この《睡蓮の池》の色づかいがとくに好きでした。
クロード・モネ《睡蓮の池》1918年頃、ジヴェルニー ハッソ・プラットナー・コレクション
濁り水なのか、上にある木々を映し出しているのか。
緑を中心とした複雑な色の水に、ピンク色の睡蓮の花びらが良く映えます。
クロード・モネ《睡蓮の池》部分
水がゆっくりと動いているような感覚になってきます。
やわらかくて暖かな空気感のある作品でした。
一方、もう一つの睡蓮はまた一味違います。
クロード・モネ《睡蓮》1897–98年頃、ジヴェルニー ロサンゼルス・カウンティ美術館
何も映し込まない暗い水面に、スポットライトを浴びせるかのように睡蓮が描かれています。
粗いタッチで、力強い印象を受けます。
お隣の国立西洋美術館には、この2つのちょうど中間にあるようなダイナミックな睡蓮が常設されていますので、時間があれば見比べてみるのもおもしろいと思います。
まとめ
『モネ 連作の情景』ウォータールー橋の連作 展示風景
このほか、モネがロンドンを訪れた際に描いた テムズ川やウォータールー橋の連作などもすっごくすっごく綺麗です。
とてもじゃないけど写真にうつしきれない光の表現、色彩のハーモニーは、実物だからこその感動でした。
観に行って後悔はないと思います。
連作以外の作品もどれも美しいです。
約70点と少なめではあるもの素描は1点もなく、すべてが油彩などの色塗りがされた作品なので見ごたえたっぷり。
とても楽しい展覧会でした。
お気に入りの1枚
これまで載せてきた作品はどれもお気に入りではありますが、あえて連作以外の作品から選ぶと ―
この《桃の入った瓶》がとっても好きでした。
モネの印象派ですらない時代の作品です。
クロード・モネ《桃の入った瓶》1866年頃、サン=タドレス アルベルティヌム美術館、ドレスデン
モネの黒っぽい作品は個人的になかなか見たことが無かったので印象にのこりました。
暗い画面でも悲壮感がなく、右からの光とテーブルに映り込んだ桃の表現がまたさすがモネという感じ。
まるまるした桃も可愛くてお気に入りの作品になりました。
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『モネ 連作の情景』展の情報
グッズ
モネ展 のグッズはオリジナルグッズからコラボグッズまでかなり充実したラインナップで大人気でした。
私は事前に公式HPで欲しいものを確認してから臨んだのですが、タイミングによっては売り切れもあるみたいです。
私が行った日でも、気づいただけでこんな感じで多数の売り切れあり。
・ロルバーンのノート:2/3種類
・積みわらちゃんポーチ:1/4種類
・モネの世界をまとうソックス:1/3種類
・京のうす飴さん:売り切れ
・モネの庭⽸(クッキー缶):売り切れ
こんな状況だったので売り切れたものはご縁がなかったのだと思ってすっきりと諦めつつ、それでも結構たくさんのグッズを買ってきてしまいました。
モネの作品はグッズ映えしますね。
グッズ売り場は会場の外にありますがロッカーを経由できるため、お財布を持たずに鑑賞しても大丈夫だと思います。
ポストカード
まずは定番のポストカード!
たくさんの種類があってモネ展で気に入った作品が、1作は見つけられるのではないかと思います。
ポストカードとして使うには紙が薄めだと感じましたが、私はコレクションしているだけなので許容範囲。
印刷はとてもきれいなので満足しています。
たしか、ポストカード用の額縁も売っていた気がするので、壁に飾りたい方はぜひ。
ポストカードは 1枚 165円(税込)です。
モネと楽しむ積みわらクッキー
次はクッキーです。
モネ展にあった積みわらの連作がモチーフになっています。
本当は、睡蓮のクッキー缶が目当てだったのですが売り切れでした。
でもこの積みわらクッキーも、ころっとしていて結構かわいいですよね。
中身は卵とミルクの味がしっかりある、なつかしいお味のクッキーでした。
美術展グッズはいいお値段のするものが多いのですが、この積みわらクッキーは 432円(税込)とかなりお手頃なので、ちょっとしたお土産としてもおすすめです。
スライド缶ラムネ
次も食べ物系で、スライド缶に入ったラムネです。
モネの《ウォータールー橋、ロンドン、日没》という作品がモチーフになっています。
ラムネはサイダー味でした。
スライド式の蓋はすべて外しきれるので、ラムネを食べ終わった後もいろいろ活用できそうです。
スライド式ラムネは 864円(税込)でした。
ブックカバーとブックマーク
ブックカバーとブックマーク(しおり)も買いました。
ブックカバーは手持ちのものがボロボロになっていたところだったので、嬉しいです。
ブックカバーは文庫本サイズで、2種類ありました。
シンプルなデザイン、しおり付き、厚み調整ができるなど機能性も良くて満足しています。
使われている素材もふつうの布とはすこし違って、使い始めたばかりですが水に強くて汚れが目立ちにくいと思います。
《睡蓮》のプリントも劣化しにくそうです。
500頁超えの文庫小説も余裕で入りました。
(余談ですが、最近はずっとジェイン・オースティンにはまっています。とても面白い。)
ブックカバーは 1,320円(税込)でした。
ブックマーカーは美術展グッズ定番のこちら。
プラスチック素材で、透け感があるところがモネの作品とベストマッチだと思います。
いくつか種類があり、私は《睡蓮の池》の作品を選びました。
ブックマーカーは 440円(税込)でした。
ボールペン
ボールペンも買いました。
"Claude Monet Journey to Series Paintings"と『モネ 連作の情景』の展覧会名が入っています。
美術展のバイカラーボールペンをちょっとずつ買い集めている私です。
ボールペンは 440円(税込)でした。
サコッシュ
《睡蓮の池》のサコッシュも買いました。
もう1種類、作品違いで白いものもあります。
チャック付きなのでパスポートを入れようかなと思っています。
ヨーロッパ旅行に行きたくて、この間 10年ぶりにパスポートを更新しました。
いまはなかなか家のことが落ちつかずに実現できないのですが、30代前半の私の目標です。
サコッシュは 2,200円(税込)でした。
ミニフレーム(ミニチュアカンヴァス)
最後はミニフレーム(ミニチュアカンヴァス)です。
これグッズにあると嬉しいんですよね。
たくさん種類があるなかで《睡蓮の池》《積みわら、雪の効果》の2作品にしました。
もう少し大きいサイズもありましたが、金色の額縁のデザインが好みだった小さいサイズを選びました。
ミニフレームは立て掛け、壁掛けどちらにも対応しています。
(壁掛け用の三角形の金具は、強めのちからでぐいっと引っ張れば上向きになります)
ミニフレームは、作品と全く同じように色塗りされているわけではなくて特有のキラキラした印刷になっています。
そこがまた違った魅力があって私は大好きです。
ミニフレーム(小サイズ)はどちらも 2,530円(税込)でした。
混雑状況・所要時間
撮影エリアの混雑状況
平日の昼過ぎに行きましたが、結構賑わっていました。
大部分は、作品を観るのに多少並ぶ感じで「人が多めだなー」という印象。
ただ、撮影可能エリアは画像のようにどうしても人がたまるので混雑します。
所要時間はじっくり音声ガイドを聴きながら回っても1時間程度でした。
グッズ売り場は外で並びます
上野の森美術館特有のことだと思いますが、グッズ売り場に入場するのにいったん外に出て並びます。
モネ展を鑑賞し終えた人から、順次、美術館入り口のロッカー棚を経由して外に出て、グッズ売り場の前のエリアに待機しました。
私は15~20分程度並びました。
外で屋根などは無いため、雨風がひどかったらちょっと大変だったかなと思います。
できれば天気の良い日に行くことをおすすめします。
グッズ売り場の入り口でチケットを確認されてから入場します。
お買い物の時間に制限はないと思われ、お客さんの多さで順々に入場していくという感じでした。
ロッカー
上野の森美術館のロッカーは、美術館入り口の外エリアにあります。
ロッカーの使用は無料ですが、100円玉が必要です。
チケット
モネ展 のチケットは事前予約と当日券どちらもあります。
平日でもかなり賑わっているので、事前予約チケットを購入した方がよさそうです。
購入後も2回まで日時変更が可能です(期をまたいでの変更は不可)。
チケット料金は平日と土日で異なります。
- 平日(月~金) 一般 2,800円
- 土・日・祝日 一般 3,000円
ペア券などいろいろな種類があるので公式サイトをチェックしてみてください。
音声ガイド
モネ展の音声ガイドは、
ナビゲーターが俳優の芳根京子さん、ガイドは声優の下野 紘さんです。
通常版とWEBアプリ特別版の2種類が選べ、
特別版には お笑い芸人の錦鯉さん&やす子さんによる「おみやげトラック」が付いています。
公式ホームページだと特別版はWEBアプリのみのような書き方になっています。
しかし、会場で音声ガイド専用機器を借りた際、2種類を選べるようになっていたと思います(記憶が定かではありませんが…)。
音声ガイドは、
音声ガイド専用機器(会場貸し出し):650 円(税込)
WEBアプリ特別版(事前ダウンロード):800 円(税込)
でした。
撮影スポット
モネ展は、展示最終エリアが1作品をのぞき撮影可能になっています。
また、上野の森美術館は外の展示看板がとっても大きいのが特徴的です。
公園の木々とモネ作品が重なって感慨深いので、是非見てみてください。
巡回
モネ展2023『モネ 連作の情景』は、東京展のあと、大阪に巡回予定です。
東京と大阪で展示作品も一部異なるとのこと。
開催情報について詳しくは次にまとめています。
開催概要まとめ
展覧会名 | モネ 連作の情景 |
● 東京展 |
2023年10月20日(金)~2024年1月28日(日) |
● 大阪展 | 2024年2月10日(土)~2024年5月6日(月・休) 休館日:月曜日(2/12、4/1、15、22、29、5/6は開館) ▶ 特設サイト:https://www.ktv.jp/event/monet2024/ ▶ 大阪中之島美術館 ▶ 美術館公式 X(Twitter):@nakkaart2022 ▶ モネ展2023公式 X(Twitter):@100_monet2024 ▶ モネ展公式instagram:@100_monet2024 |
混雑状況 | 平日昼過ぎ・混雑 |
所要時間 | 1時間程度 |
チケット | 一般 2,800~3,000円/事前予約 or 当日券 |
ロッカー | あり(無料・100円玉必要) |
音声ガイド | あり(通常版・WEBアプリ特別版) |
撮影 | 会場内撮影可能エリアあり |
グッズ | 展示会場外にあり・充実 |
※お出掛け前に美術館公式サイトをご確認ください
※開催地に指定がないものはすべて東京展の情報です
おまけ
当日は、モネっぽいネイルとピアスを選んでいきました。
混んでいるだろうなーと予想してやっぱり混んでいたのですが、モネ仕様のネイルとピアスのおかげでルンルンで鑑賞しましたよ。
好きなことは全力で楽しめたら幸せだな。
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関連情報
● 原田マハさんの小説『ジヴェルニーの食卓』
表題作の『ジヴェルニーの食卓』が、クロード・モネの晩年を義理の娘ブランシュの目線で語られるお話が出てくるそうです。
● 『印象派 モネからアメリカへ』
2025年1月5日(日)まで、東京→福岡→東京→大阪と巡回中。
印象派の波はヨーロッパだけでなく、海を越えたアメリカにも影響を与えていました。
アメリカらしい特徴を描いたアメリカ的な印象派作品にたくさん出会えます。
●『北欧の神秘』
2025年3月26日(水)まで「東京 → 長野 → 滋賀 → 静岡」 と1年をかけて全国を巡回中。
すーっごい素敵な展覧会でした。
北欧の風景というだけでもキラキラして聞こえるのに、絵画表現がとてもドラマチックだったりファンタジーだったりで観ているだけで楽しかったです。
● 『大吉原展』
5月19日(日)まで東京藝術大学大学美術館で開催中。
圧倒的な作品量と情報量で吉原の解明度が上がります。
負の面もそうでない面も、吉原の全体像がよく分かるとても濃厚な展覧会でした。
● 『マティス 自由なフォルム』
2024年 5月27日(月)まで、国立新美術館で開催中。
マティスが晩年に取り組んだ「切り紙絵」をメインにビックサイズの作品も含めて160点の作品が集まっています。
特にロザリオ礼拝堂の原寸大空間は青と黄色のステンドグラスが美しく素敵な空間でした。
● 『イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜』(2021)
2年前の「印象派・光の系譜」展でもモネの作品を観ていました。
移ろう光をとらえる力、色の選び方は、やっぱりモネ。圧巻です。
●『ゴッホ展 ― 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント』(2021)
2年前の展覧会。印象画家のゴッホも、連作とは違うかもしれませんが、ひまわりや糸杉などを繰り返し描いてきた画家です。
モネとのタッチの違いがおもしろいですね。どちらも好きです。
これまでの美術展の感想はこちらです。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
美術展や読書記録のTwitterもやっているので、よければ遊びに来ていただけると嬉しいです。
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