国立西洋美術館は企画展と常設展がありますが、
来年1月26日まで、常設展内(新館2F)で「ゴシック写本の小宇宙」という小企画展が開催中。
ハプスブルク展の半券で、この小企画も含め、国立西洋美術館の常設展が観られます。
写本って地味だと思ってたけど、想像よりもずっとずっとすごいものでした。
『ゴシック写本の小宇宙』レビュー
写本っていうから日本の写経のような、文字だけを写したモノクロのものだと思っていました、、、
修道院を中心に制作された手写本が、人々の信仰と知を担う特権的なメディアでした。
ただしそれはもっぱら文字だけを保存し、運搬する媒体だったのではありません。
獣皮紙に書かれた中世の写本には、さまざまな挿絵が描かれ、
テクストの頭文字やページの余白は、しばしば豊かな装飾なり紋様なりで彩られたからです。(パンフレットより抜粋)
展覧会の扉の前に、ゴシック手写本を当時の方法で再現した制作映像がありました。
まずはじめに、カリグラフィーを書く。次に模様や挿絵の下書きを描く。
そして、下書きをインクで縁取って、メインの色を彩色。さらにぼかしや陰影などを細密に描き込んでいく。
一つ一つにとても時間をかけていることがわかります。
展示会場の様子はこんな感じ。
これが2部屋分くらいの規模でしたね。
それにしても、写本の実物は映像で見たものよりもずっと小さいものがたくさん。
あの描き方でこの小ささなのかと驚愕です。
細かさがすごい。
すごく間近で見られるのですが、文字の部分すらも装飾されていて綺麗です。
ラテン語聖書零葉:詩編109(イニシアルD/玉座のキリスト)1260-1270年頃 撮影:mumu
中世のものなら、もっとインクが黒っぽく変色していてもよさそうですが、
赤・青・金色、どれも鮮やかに残っています。
ラテン語詩篇集零葉:詩編49(イニシアルD/座る人物)1250-1260年頃 撮影:mumu
これなんてすごいですね。書き込みが半端ないです。
このクオリティーのものがすべてのページに描かれているのだとしたら、全部でどれだけの時間がかけられているんだろ。
ファクシミリ版『ピーターバラ動物寓意集』東京藝術大学附属図書館蔵 撮影:mumu
ただ一色をベタ塗りしているわけではなくて、陰影や白いインクで紋様まで描かれています。
自らの信仰のためでしょうか、一つ一つ魂が込められているようです。
中世の当時、これだけのものを量産できるはずはない。
となると、
ポワティエのペトルス著『キリスト系図史洋ラン』(ラテン語)断片:モーセとアーロン(左欄)、イスラエルの部族の宿営地一覧(右欄) 1270-1280年頃 撮影:mumu
こんな手写本を手に取れるのは特権階級の人たちだったのかな。
当時のことを調べてみたくなりました。
関連情報
▼第2弾はこちら
▼この展示は「ハプスブルク展」の半券で観られます♪
展覧会概要・混雑状況・グッズ
展覧会名 |
内藤コレクション展 |
会期 | 2019年10月19日(土)~2020年1月26日(日) |
会場 | 国立西洋美術館 常設展内(東京:上野公園) |
料金 |
当日:一般500円/大学生250円 常設展の観覧券、「ハプスブルク展」観覧券でも可 |
所要時間 |
長くて30分程度 |
混雑 |
雨天の祝日昼間で混雑なし |
グッズ |
この企画展専門のグッズはありません |
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