今年も始まりました「DOMANI・明日展」。
文化庁が若手芸術家の海外研修を支援する
「新進芸術家海外研修制度(在研)」の成果発表展として毎年開催されています。
第22回を迎える今年のテーマは
「傷ついた風景の向こうに(Landscapes in Our Age: Scarred and Reborn)」です。
"ジャーナリスティックな表象ではなく、時間を経て生まれた表現"
というのがポイントかもしれません。
被災の傷跡ばかりを切り取った展覧会ではありませんでした。
「DOMANI・明日展2020」展示風景
作家それぞれの目線で、
傷跡から未来につながる風景を表現しているのが興味深かったです。
DOMANI ・明日展2020 感想・楽しみポイント
「庭」という風景-作家の死を超えて
若林 奮《緑の森の一角獣座 カッパー・ペインティング D-6、D-7、D-8、D-9、D-10》1996-2003
こちらは戦後日本を代表する彫刻家 若林 奮(1936-2003)さんの作品です。
若林さんは、鉄、銅、鉛、木、石膏、硫黄などの様々な素材をつかい、人間と自然との関係を追及し続けたそうです。
傷ついた風景をまなざす、傷ついた身体
佐藤 雅晴《I touch Dream #1》1999/《福島尾行》2018
アニメーション作品もありました。
スクリーンに映し出されるアニメと手前にあるピアノ。
でも、このピアノ、鍵盤は動くのに音は鳴らないんですね。
鍵盤の下がる静かな音がアニメーションと重なり、切ないような言葉にしがたい空間を作り出していました。
自然の摂理、時間の蓄積
日高 理恵子《樹を見上げてⅦ》1993
こちらは、展覧会のフライヤーに使われている作品のシリーズ。
ここ数年、見上げている枝はそのものがまず空間に「在る」ということ、この存在のリアリティとともに感じられる距離感がとても気になっている
(展示解説より一部抜粋)
傷ついたあとも自然は変わることなく
芽吹き、
葉をつけ、
落葉します。
展覧会ではそれに対応する木々の作品を観ることができました。
とても美しいです。
景色のはじまり
富永 愛子《景色のはじまり》2011-12
こちらは高さ30m。金木犀の葉っぱ12万枚をつかってつくられているんです。
やさしい光が透けて、木漏れ日のような影を作っています。
富永 愛子《はじまりの景色(春の日のこと/地図)》2016
再生に向かう風景
エピローグは、宮城県、福島県、岩手県の風景写真でした。
畠山 直哉/作品展示風景
有名作家から新進作家まで-11名によるグループ展
今回の展覧会は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック年の冒頭にあたり、国が展開する「日本博2020」のプログラムに参画する特別版とのことです。
国際的に知名度の高い作家から新進作家まで11名によるグループ展*となっています。
会期が1か月程のとても短い展覧会になります。
ぜひ足をはこんでみてください。
*参加作家は日高理恵子、宮永愛子、藤岡亜弥、森淳一、石内都、畠山直哉、米田知子、栗林慧/栗林隆、若林奮、佐藤雅晴の11名
展覧会情報 所要時間・混雑・グッズなど
展覧会名 |
DOMANI ・明日2020 傷ついた風景の向こうに |
公式URL | 公式HP/公式Twitter |
会期 | 2020年1月11日(土)~ 2月16日(日) |
会場 | 国立新美術館 |
チケット | 一般 1,000円(税込) |
所要時間 | 30分~1時間 |
混雑 | 初日(休日)に行きましたがゆったりでした。 |
音声ガイド | なし |
グッズ |
展示作品に限らずさまざまな作家さんのグッズが充実 |
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