2020年はコロナ一色になった年でした。
いろいろなことが変わりました。
そんななか私はといえば、
感染に気を付けながらも時間があれば美術展に足をはこんでおりました。
世界中が苦しんでいて心がざわざわすることも多かったなかで
美術展、絵のパワーが私のメンタルを助けてくれました。
私を支えてくれてくれた美術展 2020
1月| ブダペスト展
ヨハン・バプティスト・ライター《小さな宝石商》1850年 ブダペスト国立西洋美術館蔵
2020年はじめの美術展は国立新美術館に
「ブダペスト展ーヨーロッパとハンガリーの美術400年」を見に行きました。
前年である2019年が日本とオーストリアの友好150周年でしたので
「クリムト展」
「ハプスブルク展」
「ウィーン・モダン展」
など盛りだくさんだったのですが、
その流れで2019年が日本とハンガリーの外交開設150周年でもあり
開催したのがこの「ブダペスト展」でした。
私は舞台「エリザベート」の大ファンで
オーストリアやハンガリーの歴史が大好きなので絶対行くと決めていた展覧会。
「好きだなー」と思う絵がたくさんあって、ポストカード選ぶの大変だったな。
1月| DOMANI・明日展2020
日高理恵子《空との距離Ⅱ》2002年 新潟県立近代美術館・万代島美術館蔵
「DOMANI展」にはじめて行ってみたのも今年でした。
個人的にはどちらかというと昔の西洋画を見るのが好きなんですね。
あまりにも世界が違いすぎてファンタジーみたいで。
ただきれいだなー、行ってみたいなーって他人事でふわふわ~っと絵が楽しめてしまう。
こうしてたまに現代芸術を拝見しますと
良くも悪くも心を刺して来られる。
ちょっと心臓がどくどくしちゃうというか、自分の住む世界に近くて現実味があるからだと思います。
日高理恵子さんの作品がとても好きでした。
1月| 未来と芸術展
「未来と芸術展」は美術展のような科学博物展のような展示でした。
科学技術の発達の未来をデザインしているのですが、
看取りベッドやロボットが人間を殺害した場合の裁判想定など、
もしかしたら現実になりそうだから恐怖を感じたところもありました。
こういう体験型の展示は歩くだけで楽しい。
ちょっとお化け屋敷みたいで。
2月| ハマスホイ展
ピーザ・スィヴェリーン・クロイア 《スケーイン南海岸の夏の夕べ、アナ・アンガとマリーイ・クロイア》1893年 ヒアシュプロング・コレクション蔵
「ハマスホイとデンマーク絵画」は絶対に行きたかった展覧会の一つでした。
ハマスホイという画家も
デンマーク絵画というものまったく無知だった私ですが、
デンマークの"ヒュゲ"の価値観。
モノクロの物悲しさと、
日常を切り取ったあたたかさが入り交じる何ともいえない空気感がたまらなかったです。
コロナで自粛になりそうだったので予定空けて無理やり観に行ったのでした。
2月| 出雲と大和
昨年の「ミイラ展」を機に
博物館にも少し足を突っ込むようになりまして
今年は大河ドラマ「麒麟が来る」にもはまっているので
日本史系の博物展はこれからも行こうと思っています。
この展示は結構渋かったけど、社会科の勉強にはもってこいの展覧会でした。
6月| ピーター・ドイグ展
ピーター・ドイグ《カヌー=湖》1997~1998年
「ピーター・ドイグ展」は
2月下旬からスタートするもコロナですぐ停止になった美術展でした。
緊急事態宣言で家から出られない日々。
母の調子も悪くなったりして心が疲れてきていたころです。
事前予約制が導入され、
消毒・検温、ロッカーを使用停止にしたりと対策をして再開。
観に行けた時はほんとうれしかったです。
美術館に行ける喜びをかみしめました。
おおきいキャンバスに幻想的な不思議な絵画。
やっぱり絵を見るのって最高だな。
6月| ロンドン展
クロード・ロラン《海港》 1644年 ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵
「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」も
会期を変更して開催してくれた美術展です。
西洋画を網羅的に観られるので勉強にはもってこい。
キリスト教画・風景画・肖像画など有名どころがきっちりおさえられています。
目玉であるあの有名なゴッホの《ひまわり》は、
知っている絵だったはずなのに実物を見ると言葉を失うくらい魅入られました。
「現実を忘れる」とはよく聞く表現ですが、
いやなこと、不安なことを一瞬忘れて、かなり長く見とれていた気がします。
6月| 内藤コレクション展Ⅱ
《内藤コレクションⅡ-祈祷書より:世俗主題のパ・ド・パージュを伴うトロンプ・ルイユ風の枠装飾》部分 1524年 内藤コレクション
全3弾まで開催された内藤コレクション展の第2弾。
「中世からルネサンスの写本 祈りと絵」。
ルネサンスの影響をうけてより絵画的な要素が増えた写本がおおく、ロンドン展と合わせて鑑賞したのがより楽しかったです。
8月| 画家が見たこども展
ポール・マティ《室内の子どもと女性》1890年頃 オルセー美術館蔵
「画家が見た子ども展」は、
ハマスホイ展でみられた何気ない日常を大切にする文化と同じものを感じるあたたかい絵がおおく、すさんだ心を幸せな気持ちにさせてくれる展覧会でした。
柔らかいタッチや色合いにほっと癒される作品ばかりで大好きです。
8月| SOMPO美術館開館記念展
グランマ・モーゼス《シュガー・キャンディ》1961年 SOMPO美術館蔵
SOMPO美術館は新宿にある美術館。
こまめに消毒して食事とかはせずただ美術展に行ってすぐ帰るだけでしたが楽しかった。
ロンドン展が同時にやっていたので
ゴッホの《ひまわり》を見比べる一生できないくらいの贅沢ができました。
10月| KING&QUEEN展
ヤン・ファン・デル・ファールトに帰属《メアリー2世》1692-94年頃
「KING&QUEEN展」が今年一番はまったかもしれません。
映画や本など、あとからあとから知りたいことがたくさん出てきた美術展でした。
日本で女性が国のトップになるのはまだまだ先になりそうですが、イギリスではこんな大昔から女王が君臨しているんですよね。
そのかわり、世継ぎを産まなければならないプレッシャーに苦しんでもいたクイーンたち。
ドラマが詰まった歴史好きにもたまらない展覧会だと思います。
年末年始に『英国王のスピーチ』観る、絶対。
10月| 内藤コレクション展Ⅲ
《聖歌集零葉:イニシアルR内部に「羊飼いへのお告げ」》1450-75年
内藤コレクション展の最終章
「写本彩飾の精華 天に捧ぐ歌、神の理」ですね。
小企画展は見逃してしまうことも多いのですが
内藤コレクションシリーズはすべて鑑賞できたのでうれしい。
第1弾の時はグッズもなかった展示だったのに、
最後には特設コーナーができるくらいになっていました。
たくさんの方が鑑賞されたんだなあ。
国立西洋美術館は館内施設整備のため
2022年春まで全館休館です。
東京オリンピックも飛び越えちゃうんだなと少し寂しいですが、再開を楽しみにしています。
10月| 1894 Visions ルドン、ロートレック展
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《メイ・ベルフォール》1893年 岐阜県美術館蔵
ラストになるのが、
「1894 Visions ルドン、ロートレック展」です。
大好きなルドンもさることながら、
ロートレックのおしゃれでセンス抜群なポスターが存分に味えるめちゃくちゃ楽しい展覧会。
ここで初めてスマホの音声ガイドを使ったのでした。
やっぱり少し不便。
しかし、感染拡大して美術展に行けなくなるよりずっとマシ。
展示替えがあり、
現在は後期展示が開催中です。
年末年始に行けたら行きます。
おわりに| コロナと美術鑑賞
今年はコロナのおかげで
おおっぴらに「美術館行ってきました」と話すのもはばかられる年になってしまいました。
コロナのとらえ方は人によってさまざまです。
私は全く気にしていないわけではなく、
職場でひとり周りを消毒していたり、友達にも一切会っていなかったり、遠出をしていなかったり。
しかし、美術館にはひとりで行っています。
マスクして消毒して電車には乗るけど基本は歩きで、体調管理しっかりとして。
それで美術館に行くのは許されるのかな。
分かりません。
そう悩みながらも心に余裕がなくなると美術館に行ってしまいます。
できる範囲で楽しい毎日を送れたらいいな。
ひとりよがりにならずに周囲の意見を聴きながら、
いろいろなことに折り合いをつけてうまく過ごせたらいいなと思うこの頃です。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
2020年もあとすこし。
仕事納めまでもうひと踏ん張りです。
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